http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140622-00040753-toyo-bus_all 池袋パルコ本館の地下1階に、これまで見たことのない一風変わった衣料品店がオープンしていた。
目の前にあるのは、大型の液晶モニターのみ。
聞けば、「商品がないのに、試着と買い物ができる」のだという。
60型の大型液晶画面に写った自身の全身映像に、特別な処理を施したスカートやワンピースなどの商品画像が重なって写る。
飛び跳ねても洋服がピタリと追随する高い再現性や布の質感は、通行人も思わず目を留めるほどだ。
実物の商品や接客なしに、まるで試着しているかのように買い物ができる。
これは、中堅セレクトショップのアーバンリサーチが開発したバーチャル試着端末「ウェアラブルクロージング」だ。
端末で写真撮影をして、SNSなどで共有することができる。
気に入ったコーディネートがあれば、そのまま液晶上でカートに入れ、発行されたQRコードをスマホなどで読み込めば、
連動するアーバンリサーチのEC(ネット通販)サイトで購入することも可能。
この間の時間はわずか数分だ。
「変な表現だが、リアルでネット通販体験ができることを目指した。リアルとネットの中間点、O2Oの“2”の部分」と、
同端末を開発したアーバンリサーチの齊藤悟氏は説明する。
6月末までの期間限定の展開のため、現在はレディスの40~50型のみだが、将来的には全商品の試着・購入を可能にしていく。
大阪・アメリカ村のジーンズカジュアル店からスタートした、セレクトショップのアーバンリサーチ。
同社の2014年1月期の売上高は355億円。
そのうち、EC売上高が70億円を占める。
同社は2000年代初頭からECサイトを展開。
EC比率10%でも先端企業といわれるアパレル業界において、異例の約20%を達成し、高成長を続けてきた。
全店規模でのスタイリング提案のブログもいち早く始めるなど、業界ではECの最先端企業として知られる。
しかし、ここに来て、大手ECサイトの中には徐々に頭打ちになるところも現れ始めた。
「自社ECをさらに伸ばすために、リアル店舗を活用しようと考えた」(齊藤氏)。
ウェアラブルクロージング開発のきっかけは、2012年に東京メトロ表参道駅の構内に出店した、わずか7坪ほどのポップアップストアだったという。
通行量の多い駅ナカ立地を生かそうと、当初は雑貨を中心に置いたが、売り上げはイマイチ。
試しに衣料品を投入してみたところ、飛ぶように売れ出した。
売り場1坪当たりの売上高は、通常の店舗の3倍以上。
「どこで服を買うかというのはルールがないと気がついた」(齊藤氏)。
しかし、7坪の狭小な売り場では、陳列できる商品はせいぜい50着程度。
「1000着のデータが入った端末を置けば解決するのでは」という発想の転換に至った。
写真:60型の液晶画面に向かって、怪しげな動きをする女性の姿があった
(続きます)